集刊 TOMのコラム能管を吹く


能管を作る その3


 全体の形が決まったら、塗りをかけ、頭部に蜜蝋を詰めて、出来上がりです。塗料は本漆ではなく、取り扱いが簡単な新漆と呼ばれるものを使用しました。




艶消し漆、拭き取り作戦
成功しました




頭金には、亀甲模様の
飾り鋲を打ちました
 籐巻きには、まず黒艶有りの漆を塗っておきます。そのあと黒艶消しを塗り、乾かないうちに、巻きの表面を拭き取ります。こうすると、巻きの山の部分が艶をもって浮き出てきます。

 歌口・指穴を、ほっこりと盛り上がるように数回塗ります。濃赤という落ち着いた赤色を使いました。管内も同じ色で仕上げましょう。

 頭部には、釣具屋で買った細長い鉛の錘を、和紙に巻いて詰め込みます。歌口の中には、蜜蝋と松脂を練ったものを入れ、熱しておいた専用のコテで平らにします。

 頭の先にも、蜜蝋を入れ、頭金を固定します。家具に使う、亀甲模様の飾り鋲を頭金に使ってみました。


○能管の音【.mp3 167kb】

 竹の表面が出ている部分には、こげ茶色のオイルステインを塗って、古色を出しました。あとは、ときどき椿油で拭いてあげましょう。
(2005/6/4)



 新漆でも塗膜は充分硬いのですが、やはり本漆を塗ってみたくなりました。肌につくとかぶれる可能性があるので、手袋をして作業を進めます(あとで肌に漆がついてしまったのですが、何ともありませんでした。かぶれない体質みたいです)。



プラスチックボックスに
濡れタオルを入れて
蓋をします


拭き漆は
お好みの濃さに
 本漆は、湿度が高いと硬化するので、プラスチックボックスに濡れタオルを入れた、室(むろ)を用意します。湿度70〜80%が適当ということなので、蓋はちょっとだけ隙間を空けて被せました。

 黒呂色の漆は塗った当初は、少し透き通ったような状態なのですが、乾いてくると黒色が濃くなってきます。面白い性質です。20度以上なら6時間程度で乾きます。生漆は乾きにくくて、もうちょっと時間が掛かります。

 竹の肌が出ている部分には、同じく黒漆で、拭き漆を施します。漆を薄く塗って、すぐに拭き取ります。あまり濃く塗ってしまうと、乾いたときに真っ黒になってしまうので、薄く塗って様子をみましょう。

(2007/3/10)



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