集刊 TOMのコラム|オートバイに昂ぶる |
車 歴
ブイブイ言わせるような華やかなオートバイではなく、パタパタとかスパパパと音がする地味なやつに跨ってきました。ちょっとだけご紹介してみましょう。
●ヤマハ JOG50 公営プールに通うために、中古のスクーターを3万8千円で買ってみました。ぼろぼろでスピードは50キロも出なかったけど、気軽な下駄代わりになってくれ、大いに活躍してくれました。
しかしそののちクルマに乗るようになって駐輪場の片隅に置き去りにし、バッテリーも上がり、キックを20発ぐらい踏まないとエンジンがかからなくなってしまいました。ある日忍びこんだバイク盗も、直結してはみたものの始動できず、あきらめて帰ってしまったようです。分解され放置してある様子を見たら、ほっぽらかしておいてすまないねという気持ちになり、手直ししてまたしばらく乗ってみたりしました。
●ホンダ CD50 ひとりでクルマに乗っているのも、何だかあほくさいもんだなあと思うようになり、マニュアルミッションの原付を買いました。黒色のビジネスバイクで、4ストローク・4速ロータリーミッションです。お巡りさんが乗っている、あの無骨なやつです。
4ストローク車に乗ってみたかったし、世に言うホンダの神社仏閣スタイルも結構気に入ってました。よく近郊1日ツーリングに出かけましたが、地元の人と思われるらしく、ピースサインを出してもらえないのが、玉に傷でありました。
●スズキ GN125 50ccの非力さに耐えかねて、教習所に中型免許を取りに行きました。卒業検定で緊張して一本橋を猛スピードで通過したら、教官は苦笑いしていましたが、オマケで通してくれたみたいです。
バイク購入にあたり、ホンダGB250あたりを第一候補に考えていたのですが、カタログの片隅に載っていたこの不人気車に、なぜか惚れてしまいました。中途半端なアメリカンスタイルで、125ccにしてはタコメーター、さらにはギアインジケーターまでついてました。パカパカという軽快な音を出してお気楽に走るバイクでありましたが、それでも回して走るとなかなか力強くて面白かったです。
●スズキ ジェベル200 今度は山のでこぼこ道を走りたくなったので、オフロード車を買いました。といっても未舗装路はとろとろ走っているもので、よくバリバリのオフローダーのあんちゃんにぶち抜かれておりました。大容量の燃料タンクと大きなヘッドライト、トップギアは40キロから入るので、長距離でも安心してゆったりと走ることができました。
よく泊まりがけで、信州・飛騨・美濃を回りました。抜けるような青い空、萌え立つ緑の山々、田舎道に交わすピースサイン。ツーリングの楽しさを教えてくれたバイクです。
●ヤマハ TT-R・レイド それでもやっぱり欲が出て、250ccフルサイズのオフロード車に乗ってみたくなるのでした。車体のバランスがよく、ツインカムエンジンはよく吹け上がりました。調子に乗っていたら、浮き砂に後輪をとられてすっころんでしまいました。
いいバイクなのですが、自分は渓流沿いの田舎道を、40キロぐらいのゆっくりしたスピードで景色を見ながら走るのが好きなので、こうした使い方には合わなかったかなとも思います。
●ホンダ スパーカブ90DX とろとろ走っているのが好きなので、ついにカブに乗ることにしました。ゆっくりしたスピードで走っていると、景色が身体に染み込んでいくようで、本当に心地良いのです。また河原や堤防に入って行っても、子供連れのそばを通っても、白い目で見られない和やかな性格をしています。面白いことに、街中を走っていると郵便屋さんが私のエンジン音を聞いて振り向きます。仕事仲間がやって来たと、思うのでしょうね。
オートバイに乗ることは、それなりの自制心も要求されますが、何にも代えがたい開放感をもたらしてくれます。その土地々々のもつ雰囲気を、むきだしの身体全体で感じることができるからです。朝露に濡れるシートを拭き、スタンドを蹴り上げてギアをローに踏み込めば、そう、それが旅の始まりです!
(2004/6/9)