集刊 TOMのコラム|渓流に遊ぶ |
火入れと切り組み
1年間竹を干したらいよいよ開始
ガスコンロで竹をあぶって節間をまっすぐに
それから節を曲げて直線上に並べる
するとあら不思議ただの竹が竿に変身
なよなよしていた素材がしゃきっとする
少女が大人に変わっていくようなエロチシズムがそこにある
そして切り組み
穂持ちをどうするかが竿の勘所
硬い古竹で引き締まった竿にするか
薄い新竹でたおやかな竿にするか
それぞれ味があって捨てがたい
長さを揃えるのもひと苦労
せっかくのよい素材も節の位置が合わないと使えない
ああでもないこうでもないと考えて
えいやっと竹を切れば切り組みの完成
これが竹竿作りの楽しみのもう半分
探竹と切り組みで竹竿作りの喜びはほぼ終わり
糸を巻いたり漆を塗ったりするのは余技に過ぎない
切り組みの終わった白竹を並べて眺める
装飾のない素の姿は完成品にはない美しさを秘めている
未完成の美 (2021/10/2)