集刊 TOMのコラム


携帯ラジオあれこれ その1

 ラジオは机の上に置いて、静かな音で聞くのがいい。ちょうど目の前にいる相手が語りかけてくるような感じがする。寝床の枕元で聞くラジオもいい、心地よいささやきとともにいつのまにか眠りに落ちる。私が持っているいくつかの携帯ラジオ。


●ソニー ICF-SX44R(単4・2本)
 胸ポケットサイズ。巻き取り式のイヤホン(片耳)コードがFMアンテナを兼ねているので、スピーカーで聞くときも伸ばす必要があります。音量・周波数ダイヤルが上部にあり、ポケットに入れたときに使いやすい。電池は長持ち。イヤホンジャックは2.5mmミニで横にあります。自動オフ機能があって2時間ぐらいで止まります。消し忘れが多い人には便利ですが、長時間聞く人にはいらっとする機能かも。


 FMの感度は並、AMは良好です。東京で夜間の遠距離局受信をしてみると、札幌から福岡までの高出力局がきれいに入りますし、低出力局も受信できます。音もクリアでストレスなく聞くことができます。


●AudioComm(オーム電機) RAD-V963N(充電池・単4・3本)
 非常用に手回しラジオが欲しいなあと思いつつ手が伸びなかったのですが、東日本大震災を機に購入しました。手回し・ソーラーパネル・USBから充電池(蓋つきで交換可能)に充電できます。携帯電話への充電は手回しのみで、他にLEDライト、サイレンがついてます。イヤホンは両耳モノラル。


 カタログ値によると、手回し3分で30分ラジオ(スピーカー)を聞くことができます。ソーラーパネルでは8時間、USBでは3時間で満充電、充電池では10時間、乾電池では15時間ラジオ使用可能とのこと。ためしに3分回してみると、机の上に置いて聞くボリュームだと1時間弱使えました。ソーラーパネルによって、日なたや蛍光灯の下10センチに置けばずっと使えます。しかし夏の炎天下では基盤が痛みそうですし、蛍光灯の下はノイズが大きくなります。

 感度はFM・AM・短波とも並です。短波はラジオNIKKEIが3波とも聞けますが、そのかわり7MHz帯がありません。スピーカーの音はこもり気味です。


●エルパ ER-21T(単3・2本)
 アナログチューナーでデジタル表示。目覚まし・スリープ・表示照明つきで2480円です。電池も長持ちで90時間(スピーカー)。イヤホンは両耳モノラル。3VのDCジャックもついてます。


 FMの感度は良好、AM・短波は並です。デジタル表示なので、AMの遠距離受信や短波での選局が楽です。AM・短波の表示は実際の周波数とほぼ一致していました。FMは0.1MHzぐらいずれています。スピーカーの音は硬めです。

 アマゾンの箱ふたつ(51×23センチ)にビニール線を巻いて作った、ゲルマニウムラジオのループアンテナにラジオを近づけて、感度アップを狙ってみました。


 送信所の方角にアンテナを向け、ゲルマラジオの周波数ダイアルを回して同調させて使います。遠距離の高出力局は安定した大きな音で聞くことができますし、ラジオ単体では聞けなかった低出力局も聞こえてきます。

 春から夏に多いのですが、突発的にできるスポラディックE層という電離層があって、それに電波が反射すると東京でも中国のFM局(90MHz辺り)を聞くことができます。河川敷で受信しました。

【動画・Eスポによる異常伝搬】


●AudioComm RAD-F6228M(単4・3本)
 胸ポケットサイズ。DSP(デジタル・シグナル・プロセッサー)というマイクロチップで検波・増幅を行なうそうで、その新方式に惹かれて手が伸びてしまいました。ロッドアンテナ・スリープ・目覚まし(ラジオ・アラームの選択可)・表示照明がついています。イヤホンジャックは上。



 FMステレオは高感度、AMは並です。電池持ちはイヤホンで32時間。充電池不可と書いてありましたが、エネループを入れています。今のところ問題はないようです。


●TECSUN PL-505(単3・2本)
 中国メーカーのDSPラジオです。手のひらサイズで持ち運びに便利です。FMステレオは高感度、AM・長波・短波は良好、音もクリアです。USBから充電できます。電池持ちは悪いという感じはしません。


 AMの帯域調整は、6・3・2・1kHzです。電界強度・S/N比に温度表示、目覚まし・スリープ・表示照明、プリセットメモリはたくさんあるし、アンテナジャック(FM/SW)もついてます。延長ロッドアンテナも付属。イヤホンプラグを抜くと音量15、差し込むと8(もとが8以上のとき)になります。目覚ましは音量10で固定らしい。すっきりしたデザインも好みです。枕元ラジオに、また持ち歩きにも使っています。


【番外】●エレキット らじおくん(TK-728)(単3・2本)
 中学の授業で6石スーパーを作ったことがあるので、今度は2ICストレートを組み立ててみました。部品が見えるボード型で、メカニカルな雰囲気を醸し出しています。イヤホンジャックはありません。ICの足の間が狭くて不安でしたが、何とかはみ出さずに半田づけできました。


 ストレートラジオ特有の混信がありますが、ラジオの向きの調整することで、地元局は問題なく聞くことができました(都区部木造住宅内)。ストレートラジオの特性なのでしょうか、からっと乾いた音で、人の声はのびやかで聞きやすいです。電池は超長持ちです。とても気に入ったので机の脇に置いて、AMはいつもこれで聞いています。


【番外】●電子ブロックミニ 『大人の科学マガジン』vol.32(学研)(単4・3本)
 ブロックの組み合わせで、初歩的なラジオ回路を組むことができます。ダイオードやトランジスタ検波では、アンテナとアース線をつながないと聞けませんが、レフレックスにするとそのままでよく鳴ります。アンプを通さず、セラミックイヤホンで聞く回路も組めます。


 他にもウインカーやシンセサイザー回路、エレクトロニック睡眠器やうそ発見器なんかも作れます。


●DEGEN DE1103(単3・4本)
 中国メーカーのダブルスーパーラジオで、感度はソニーの最高級機種に匹敵すると言われているそうです。円高のおりebayを見ると、送料込み日本円換算で5700円だったので、思わずぽちっとクリックしてしまいました。


 FMステレオ・AM・長波・短波とも高感度です。音はこもり気味。目覚まし(時計は進みがち)・スリープ・表示照明つき。電池は4本入れている割にはすぐになくなってしまいます。SSBが受信できるので、短波帯のアマチュア無線や航空機の洋上管制を聞くことができます。日本の主要空港の天気を放送している、東京ボルメットを録音してみました。

【音声・東京ボルメット・セントレア(名古屋)】


●東芝 TY-SPR1(単4・2本)
 胸ポケットサイズ。小さくて薄くて軽いのですが、その分スピーカーも小さいです。電池持ちは85時間(イヤホン)で、シンセサイザー方式のわりには長持ちです。イヤホンジャックは上にあって、FMアンテナになっています。FMステレオは高感度、AMは良好です。


 FM音楽はステレオで聞きたいし、喫茶店で隣に大声のおばちゃんが座ったときも両耳ふさげるし、またプリセットで素早く選局できるので、外出時にはこのタイプが使いやすいです。目覚ましつき、スリープはありません。ボリュームの段階が細くて、ちょうどよい音量に合わせられます。音は乾いていて、少しホワイトノイズが大きいので、32Ωのイヤホンを使っています。


●ANDO AP5-374S(単4・2本)
 胸ポケットに入るアナログ短波ラジオ。感度はFM・AM・短波とも並です。電池もよく持ちます。イヤホンは両耳モノラルで、ジャックは横にあります。短波は5.9〜19.1MHzなので、3MHz帯のラジオNIKKEIは聞けません。


 裏側にベルトクリップがあるので、作業中に腰につけて使っています。胸ポケットでは屈んだときに落としたりするので、やはりベルトクリップは便利です。アナログのチューニングも楽しいので、ダイヤルをそっと回してはAMや短波の海外日本語放送を聞いたりしています。
(2012/3/24)


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