集刊 TOMのコラム能管を吹く


能管を作る その1

 篠笛を作ったので、いよいよ今度は憧れの能管を作ることにしました。一般に丸竹の能管は、管頭・管尻を含め数本の竹を接いで出来ているのですが、今回は手間を省いて、1本の竹で作ります。また本漆は扱いが難しいので、新漆やカシュー下地を使うことにしました。




真ん中にぶっ刺してあるのが、
「のど」です
これで能管独特の音程が、
出るようになります





竹べらで下地を塗り
サンドペーパーで整えます
この画像では
すでに籐が巻いてあります
 材料の竹を、笛屋さんから購入せず、東急ハンズに行って、女竹を買うことにしました。炭火で炙って矯正するという技はないので、なるべく真っ直ぐな物を選びます(その後、竹竿作りなども始めて、ガスコンロで火入れして矯めるようになりました)。

 さて、表皮を小刀ではいで、穴を開けます。手元にあるプラスチック製の能管から、穴の位置と寸法をとりました。

 次に、半分に切って、能管の特徴である「のど」を入れます。ひとまわり細めの竹から削り出して、厚さは1ミリ程度にします。木工用ボンドをたっぷり塗って固定します。

 そして、管内の下地塗り作業に入ります。本当ならば、砥粉と漆を練り上げた地漆(錆漆)を塗るのですが、今回は「カシュー下地2号」を使います。

 歌口では太く、「のど」の部分では細く、そしてまた太くなり、最後管尻で細くなるように、竹べらで塗っていきます。塗っては乾かし、それをサンドペーパーで削るという作業を、試し吹きしながら進め、内径を整えていきます。最後は耐水ペーパーで滑らかにしましょう。

 この内径の調節は、能管を作るうちで最も気を遣う作業と言うことができます。ちゃんと内径の数値を計りながら、慎重に削ります。甲呂音のすべての音を揃え、かつ出しやすくするのは、なかなか難しいものでありますねえ。
(2005/3/20)



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