集刊 TOMのコラム能管を吹く


能管を作る その2


 音が決まったら、板を貼り籐を巻いて、全体の形を作り上げていきます。




籐を巻き上げます
最初と最後は
竹を彫り込んでおくと
きれいに仕上がります




黒檀を削って
埋め込んだ「蝉」です
 頭部と歌口付近、そして管尻に、薄い板を巻きつけて、笛全体にボリュームをつけます。

 歌口・指穴・指が掛かる竹の部分も、当たりがいいように、谷彫りします。

 そして籐で巻き上げます。籐は釣具屋さんで購入したのですが、仕上げが粗雑で、ちょっとデコボコがありますねえ。以前笛屋さんから買った物は、きれいに揃っていました。

 籐を巻き終わったら、山の部分にペーパーを掛け、谷の部分は小刀と細いヤスリで削って、巻きをきれいに整えましょう。

 次は、頭に竹の節を模した部分をつけます。これにはひと回り太い竹を削って、上からはめ込みました(本当は接ぎます)。

 節の裏側には、竹の枝が出ている部分の装飾があり、これを「蝉」といいます。黒檀をしこしこ削って、埋め込みました。

 貼る板の厚さ、谷彫りの深さ、籐巻き部分の長さによって、笛を好みの形に仕上げることができます。ほんのちょっとの細部の微妙な差でも、笛全体のイメージが変わってきます。笛を作る人の個性が表れる、面白い作業であります。
(2005/3/21)



次へ
inserted by FC2 system