集刊 TOMのコラム能管を吹く


篠笛を作る その1

 笛を吹いていると、今度は笛を作ってみたくなりました。本当は能管を作りたいのですが、構造や手順が複雑なので、まずは篠笛を制作することにしました。

 材料の篠竹(女竹)は、水分の少なくなる秋冬に切り、炭火で殺青(油ぬき)と矯正を行い、3年ほど寝かせて乾燥したものを使用します。しかし今回は手軽ということで、笛作りセットを購入しました。

篠竹に、型紙から、穴の大きさと位置を写し取ります。竹が微妙に曲がっているので、真っ直ぐな部分を選びます。今回は、8本調子(C管)を作ります。
ネズミ錐で、穴を開け、切り出しで、穴を削ります。竹が割れないように、そーっと作業します。竹の表皮部分は硬いので、上手く削れないなあ。
紙ヤスリを貼った棒を、差し込み、管内を掃除します。穴も、ヤスリで、きれいに仕上げます。
吹き口の近くと、頭の蓋、計2個のコルク栓を、挿入します。試し吹きしてみると、おっ、鳴りました! 「ミ」の音がちょっと低いので、穴を少し広げました。

 コルク栓を入れるとき、ちょっと失敗してしまいました。笛の頭の部分は、竹の節に近くなっていまして、内径が細くなっています。頭の内径に合わせて、コルクを削って挿入したところ、なかでは緩くなってしまいました。頭部分の内径を、もっと広げておくべきでした。でも木工用ボンドを多めに入れ、塗りのときに漆で埋めれば大丈夫でしょう。

 構造が簡単な篠笛ですが、いざ作ってみると、竹の表皮が思いのほか硬くて、穴が開けにくかったり、竹の内径が微妙に変化していて、栓を詰めにくかったりと、意外と気を遣うものでした。たやすいと思っていることでも、自分で手をつけてみると、様々なことを、身をもって感じることができますね。こうした笛作りの手触りを知ると、吹くときにも真摯な姿勢で笛に向かわなければと、思うのでありました。
(2003/11/1)


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