集刊 TOMのコラム能管を吹く


篠笛を作る その2

 どうにかこうにか音が出たので、管内の塗りを含めた、仕上げの作業に移ります。面取りの具合や使用する色合いで、笛の形や雰囲気が決まっていきます。派手さのない、シンプルなものにしようと思っています。

頭部と管尻の、面取りをします。笛の印象を左右してしまう、微妙な作業なので、全体を眺めながら、慎重に削ります。
管内と穴を塗ります。本漆は、扱いが難しいので、新漆を使います。本来は、朱色に塗りますが、今回は、こげ茶色で渋めに仕上げてみました。
頭部と管尻を塗って、調子の「八」の字を、書き入れます。八本調子がC管、七本がB管、六本がB♭管になります。
できあがりました。袋は、渋めの色を使った笛に合わせて、金糸の少ない青色の物にしました。
○篠笛の音 【元禄花見踊り .mp3 100kb】

 素竹の風合いを生かしたかったので、頭部と管尻には籐を巻きませんでした。次回は、籐巻きに挑戦してみましょう。

 できあがった笛は、穴の繰り具合が少しばかり雑だったり、塗りが均一でなかったようですが、初めてにしてはよくできたと思います。しげしげと眺めてみれば、面白いもので、良いにつけ悪いにつけ、私そのものが笛に現れているものだと思いました。さて、次に作る笛はどのようなものになるのでしょうか。あらたな自分を発見できるかもしれません。
(2003/11/3)


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