集刊 TOMのコラム渓流に遊ぶ


竿・仕掛け

 渓流釣りにも、様々なスタイルがありますが、私の釣りについて、ちょっと書いてみようと思います。主に和式毛鉤釣り(テンカラ)とフライをやっています。餌釣りはこのところやってません。

●和式毛鉤釣り(テンカラ)
 竿は、3.2メートルの先調子気味の竿。主に3.6mの撚り糸テーパーラインと、1号のフロロのハリスを1尋(1.8m)つけて振っています。竿を天高く上げたとき、毛鉤が足下にくる長さになります。上流に向かって釣り上がるときには、このくらいが軽快で扱いやすいです。下流を扇引きで釣る場合は、5mのテーパーラインを使っています。竿は短めではありますが、木々の被さった狭い場所で振る場合には具合がいいです。でも本流で対岸を釣るなら、もっと長い竿が欲しいところです。

 撚り糸テーパーラインはフロロのレベルラインに較べると重くて、毛鉤が手前に引かれるいわゆる「おつり」が出るとよく言われます。しかしそれは遠くに振り込み過ぎているからで、ハリスを1尋程度長めにとって全部水につけるように振り込めば、それほど「おつり」は気になりません。

 フロロのレベルラインの方が、ハリスの先端だけを水に浸けることで、毛鉤を自然に流せます。流速のある中・大規模渓谷で、ポイントの真横に立って流芯の向こうに毛鉤を打つときには、特に効果を発揮します。ラインが軽いので、ハリスは矢引ぐらいの長さに(0.9m)した方が、振り込みやすいです。後振りにはラインが伸びきるまで充分待ち、振り込みは素早くする必要があります。また枝のかぶさった渓の上流部で、小場所を攻めるときにも使用しています。仕掛けの全長を竿一杯の長さにし、岩陰にしゃがんで振っております。

 私はテーパーのコンパクトで歯切れの良い振り込みが好きなので、普通の渓流ではこちらを使うことが多いです。またレベルでは、魚に合わせたとき「ガン!ビーン!」という硬い感じがします。撚り糸テーパーはそれよりちょっとだけソフトで「ゴン!」という衝撃になります。この「ゴン!」という感じも好きです。

 ハリスは、フロロでは1号を、ナイロンでは1.2号を結んでいます。フロロの方が堅めなので、振り込みやすいです(最近はフロロばっかりです)。ナイロンで長くすると、毛鉤が失速して、ふにゃっと落ちてしまいます。けれどナイロンは浮きやすいので、ドライフライに拘るのならこちらでしょうか。

 毛鉤は、白色・黒色・浮き・沈み・大・小の組み合わせで、巻いています。色はその渓で見やすいものを使っています。黒色は見にくいので、蛍光ピンクの目印を毛鉤につけています。渇水時は浮くものを、増水時は沈みやすいものを選ぶようにしています。なるべく浮くものを使って、水を割る魚の背中を見て掛けたいのですが、釣り人の多い渓では、沈み気味のものの方が、魚が安心して出てくるようですね。

 4.5mのテーパーラインを、自作してみました。フロロカーボンの1.5号で、6本撚り2m・5本撚り1.5m・4本撚り1mのラインを作り、それをサージェンス・ノットで、繋ぎ合わせます。使ってみると、なかなかよく飛びます。手で撚ったので、撚りが少なめでした。ドリルなどでしっかり撚りを掛けられるなら、太さや本数をさらに減らせると思います。

 和竿を購入しました。11尺3本並継ぎで、穂先のみ布袋竹です。ゆったりとした穏やかな釣り味です。ただし重たいので、魚影の少ない渓で釣っているとだんだん疲れてきます。管釣りで虹鱒に合わせたとき、穂持ちの先が折れてしまいました。そこを10センチ程切り詰めて、絹糸と本漆で補修してみましたが、調子が先の方に行ってしまい、滑らかさがなくなってしまいました。竿師さんにちゃんと修理してもらった方がいいですね。

●フライ
 ロッドは、狭いところでも振れるようにと、ファストの♯3-4/7ft(5pc)です。セット物を買ってみたのですが、硬くて棒みたいです。渓流では魚の引きは楽しめませんが、管理釣り場で大物が掛かっても余裕で寄せられます。テンカラ竿より1メートルほど短いので、頭上に枝があっても、振りやすいです。

 硬いのに懲りたので、開けた渓で使用するミディアムスローの♯3-4/8.2ft(4pc)ロッドを購入しました。対岸のライズをずばっと獲りたいと思っているのですが、私のキャスティング技術では、フライにドラッグが掛かりっぱなしです。ただ今修行中であります。

 ♯5-6/8'6ft(5pc)を買って、近くの川で鯉を釣ってます。スロー気味の竿なので、鯉が掛かると胴から曲がって満月になってしまいます。リールはクリック音が大きくて、鯉が走るとギャーと叫び声を上げます。もうちょっと静かな方がいいかも。

 それで♯8/9ft(4pc)を購入し、鯉とも対等に渡り合えるようになりました。川に入ってきたシーバスを見つけてチャレンジしてますが、連敗中です。

 最近は竹を採ってきて、丸竹ロッドを自作しています。火入れと矯めが巧くなくて、あちこち微妙に曲がっていますが、充分役割を果たしてくれます。

●餌釣り
 竿は、5.4〜6.1mの硬調。普段は大体、5.4mで間に合っていますが、堰堤下などの大場所では、全部伸ばして使っています。ハリスは0.4か0.3、教科書どおりの仕掛けです。

 もう少し細い糸を使えば、釣果が上がるような気もするのですが、大物が来たときに(悲しいかな滅多にありませんが)、耐えられないのではと不安で、結局このままにしています。

 仕掛けの全長は1尋ちょっとぐらいですから、提灯釣りです。餌釣りでは、渓の上流部に入ることが多いので、この長さになります。魚を足下に寄せるとき、バレないように注意して、竿を縮めなければいけませんね。

 安売りで買った、4.5mの硬調の小継ぎ竿もあります。なぜか、大物がよく掛かるので、とても愛着があって、手放せません。上流部なら、この長さで充分のような気がします。軽くて扱いやすいということもあるのですが、アプローチや餌の流し方に気を使う方が、釣りとしては面白味があると思っているからです。


 釣りを始めるまえは、釣り人といえば一緒くたに同じ趣向の人種と思い込んでいましたが、いざ手を染めてみると様々なスタイルや考え方があることに気づかされます。釣り以外でも、自分の身の回りのことにこうした思い込みが多いのかもしれません。素直な目をもって物事を見たいものだと、あらためて感じます。

私の毛鉤釣り
illustrated by oozeki
(2003/10/17)


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