集刊 TOMのコラム|渓流に遊ぶ |
探 竹
朝晩の冷え込みが増す11月
釣竿にする竹を探しに河川敷に来た
竹はいくらでも生えているが竿にできる物は本当に少ない
ほとんどの竹は一定の太さで先が急に細くなっている
手元にはなるが竿の肝と言うべき穂先や穂持ちにはならない
それでも目を凝らして探すとすらっとした形の良い竹が現れる
それは竹というより釣竿そのものが生えているように見える
どんな竿になるか曲げて調子をみる
曲がりが少なく節のでっぱりが小さい素材がよろしい
節が回ることなく左右均等に並んでいる竹は上物である
竿作りの楽しみの半分はすでにここにある
竿師が売る極上の竹には及ばないが
晩秋の竹林に彷徨って自分の竹を探す喜びは何にも代えがたい
刈った竹を縛って自転車に積んで河川敷を走る
空を見上げれば渡り鳥が雁行して飛んでいく
寒さで釣りから遠のく頃竿作りの季節が始まる
竹林逍遥 (2021/6/28)